そもそも株式におけるクオンツ分析とは何ぞや?というところを少しお話しします。
株式市場におけるクオンツ分析は、数学的および統計的手法を用いて、株式の価値を評価し、投資戦略を策定するプロセスです。このアプローチは、伝統的な株式分析が主観的判断に依存するのに対し、客観的かつ定量的なデータに基づいて意思決定を行うことを特徴としています。
ファクター分析はクオンツ分析の一部であり、株価の変動を説明するために複数の要因(ファクター)を仮定し、それらの影響力を測定する手法です。この分析はリスク管理やポートフォリオの最適化に不可欠と言っても過言ではありません。またそれ以外にも、市場の動向をより深く理解するために利用されています。
ファクター分析の歴史
金融市場におけるファクター分析の応用は、1960年代にユージン・ファーマによって提唱された資本資産価格モデル(CAPM)に始まります。CAPMは、市場リスク(ベータ)という単一のファクターを用いて、資産の期待リターンを説明しました。その後、1970年代には、スティーブン・ロスとリチャード・ロールが多因子モデルを導入し、市場リスク以外にもサイズ、バリュー、モメンタムなどのファクターが株価に影響を与えることを示しました。これらの発見は、ファクター投資という新しい投資手法の基礎を築きました。
ファクター分析の現代的応用
現代のファクター分析は、より複雑で洗練されたモデルを使用しています。代表的なものにファマ・フレンチの三因子モデルがあり、市場リスクに加えて、企業の規模(サイズ)と価値(バリュー)のファクターを考慮に入れています。さらに、カリフォルニア大学のキャロル・ハーベイ教授は、時間を通じて変動するリスクプレミアムを考慮した条件付き多因子モデルを開発しました。
これらのモデルは、株式のリターンを予測し、リスクを管理するために世界中の投資家やファンドマネージャーによって利用されています。また、機械学習や人工知能の進歩により、ファクター分析はさらに進化を遂げ、未来の市場動向を予測するための強力なツールとなっています。